韓国のアイドルグループ「BTS」は、「強くあれ」「弱音を吐くな」といった旧来の「男らしさ」とは逆に、弱さや過ちを認め、互いにいたわり、成長する姿を見せてきました。思うようにならない社会の中で、「もっと自分を大切にしていい、愛していい」というメッセージが支持されているとエッセイストの小島慶子さんは言います。BTSが示した新しい男性像について聞きました。
――小島さんは、2021年にBTSに深くハマる、いわゆる「沼落ち」をしたそうですね。
きっかけは、国連本部でBTSがスピーチしたことでした。過去の演説も検索し、世界中の若者に向けて、「失敗も含めて自分を受け入れて愛そう」「自分のことを話そう」と呼びかける18年のユニセフでの演説に深く共感しました。
人生でアイドルにハマったことは一度もなく、「韓流を好きになるなんて、イタイおばさんのすることだ」とすら考えていました。まさに女性蔑視の考えでした。
女子が熱狂するものには価値がない?
――私も同じです。1年前からBTSが好きになり、自分の偏見に気づきました。
「アイドルやファンがバカにされてきたのは、女性蔑視と深いつながりがある。『女子が熱狂するものには価値がない』という社会の偏見は根強いからだ」とBTS研究の第一人者が指摘していて、衝撃を受けました。
BTSで人生が不可逆的に変…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル