DVを正確に把握するために リスクアセスメントとは 識者に聞く

 今回の改正法案では、話し合いで協議離婚できずに審判や裁判になる離婚では、共同親権にするのか単独親権にするのか、裁判官が決定することになります。父母の一方から、「身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれ」があるときは、単独親権にすると定められています。では、DVのおそれを見極めるには、どうすればいいのでしょうか。カナダ・プリンスエドワード州在住でDVの危険度判定に詳しい臨床心理士、高野嘉之さんに聞きました。

     ◇

 刑事事件に該当するDVを専門とする裁判所があるアルバータ州で、加害者更生プログラムを実施する民間団体にセラピストとして勤めていました。2020年にプリンスエドワード州に移り、現在は、加害者に介入する臨床の専門家として、連邦政府や州の委託を受けてDVのリスクアセスメント(危険度判定)をしたり、虐待をした父親向けの更生プログラムに携わったりしています。

 DV裁判所は、2週間という迅速な審理で、警察官、検察官が証拠を集め、加害者を裁き、その処遇を決めることができます。今年1月には、プリンスエドワード州にもDV裁判所ができました。

 一口に加害者といっても、バットやハンマーを使う致傷性が高いリスクの人から、言い争いの中で1回だけたたいてしまった加害者など、様々なレベルの人がいます。

 ただ、暴力の種類だけでDVの危険度を判断することはできません。たとえば、相手につばを吐くという身体的には大きな影響がないように見える暴力でも精神的な影響は計りしれないでしょうし、ストーキングやアルコール、ギャンブル依存などと合わされば、さらにリスクが高まることになります。

 また、つばを吐いたり物を壊…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment