大村美香
トラック運転手の残業規制で物流が滞るおそれがある「2024年問題」の対応政策の一環で、送料無料表示の見直しを検討している消費者庁は10日、EC事業者側と意見交換した。楽天グループなどが参加する新経済連盟は「物流事業者の抱える問題の原因が送料無料表示だという主張には合理的根拠がない」として、物流環境に関する消費者への周知啓発など別の施策をとるよう提案した。
同連盟は、送料無料か有料かの表示内容にかかわらず、EC事業者は配送業者に運賃を支払っており、その金額は上昇しているとし、商品価格の見直しなどの企業努力で、送料無料サービスを維持しているとした。
また、送料無料表示が原因で物流事業者が適正な運賃・料金を収受していないことを裏付ける合理的根拠はないことや、消費者が物流を軽んじていることを示す根拠がなく、軽んじている原因が送料無料表示であると示す根拠もないと主張。輸送コストへの消費者の意識を変えるのであれば、直接的に周知啓発する方が効果が期待できるとした。
この日は、ヤフー、メルカリなどが参加するセーファーインターネット協会とも意見交換した。同協会は、送料無料表示の見直しが、消費者向け送料への運賃の適正な転嫁・反映につながる根拠を示すよう求め、「政策効果が立証できないなら安易に見直しをするべきではない」と主張した。
消費者庁は6月から意見交換を始め、初回のトラック運送の業界団体「全日本トラック協会」は、送料無料表示をなくすよう求めた。(大村美香)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル