東京電力福島第一原発の事故後、福島県産の農産物などを対象に欧州連合(EU)が続けてきた輸入規制が3日、完全撤廃される。これを新たな好機と捉え、海外向けに販路を開拓したり商品開発に励んだりする県内企業も出てきた。海外展開でブランド力を向上させ、国内市場への還元で好循環を生み出すのがねらいだ。(力丸祥子)
「健康」「オーガニック」重視の欧州が注目「北限のあおさ」
「香りも、色もいい。日本食だけではなく、フランス料理のシェフにレシピを考えてもらうのも、おもしろい」
7月18日、福島県相馬市。松川浦に臨むあおさ加工会社「マルリフーズ」で、あおさを試食したノーデンボス・マリナスさん(50)は声を弾ませた。
1993年創業の同社は、2011年の東日本大震災の津波で事務所と工場が全壊し、漁業者の網なども流された。国内有数の産地の一つとして知られる松川浦のあおさ。養殖再開と出荷にこぎ着けるまで7年を要した。その後続いた原発事故による風評をはね返そうと、消費者の安心を得るため独自で、出荷前の放射能検査を毎日続けた。
従業員約15人の会社は今回、欧州への物流拠点となるオランダ市場に初挑戦する。「健康」や「オーガニック」の価値を重視する人が増える中、オランダを拠点に欧州15カ国以上へ水産加工品を販売する会社を営むマリナスさんが目を付けたのがあおさだった。欧州の食卓で海藻はなじみが薄いが、料理のソースやジェラートの材料にすることを試みるという。
■「海外の有名レストランで使…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル