GHQもかつて注目 外国人への賠償を制限する「国賠法6条」の謎

 警視庁の違法行為で死亡したと認めながら、被害者がネパール人であることを理由に損害賠償額を約100万円にとどめる判決が、東京地裁で言い渡された。根拠となったのは、「相互保証主義」を定めた国家賠償法(国賠法)の6条。この規定には、国会での法案審議で疑問が呈され、政府も一時は「削除」を検討しながらも、残り続けた歴史があった。

施行は1947年、法案審議でも議論に

 国家賠償法は1947年に成立し、施行された。国会議事録などによると、成立前の国会審議では議員からこんな意見が出た。

 「相互主義という国家主義に立脚したものを清算して、日本として独自の責任規定を設けた方が国家の行くべき途に合致するのでは」

 「門戸閉鎖的な規定を置かず、広く救済を与える方が妥当ではないか」

 政府側は「その国で日本人が救済を得られないのに、こちらが進んで救済をするほどの国際主義を貫く必要もないのではないか」などと答弁した。

 ただ、戦争を経て制定された新憲法の17条は「何人も公務員の不法行為で損害を受ければ、『法律の定めにより』賠償を求められる」と定めている。

 審議された国賠法は、これを受けて具体的な規定を定める法律で、外国人への賠償に一定の制限を設ける6条は、憲法の「何人も」との書きぶりとは矛盾する。

GHQの照会に、政府の回答は……

 それを踏まえ、政府側が「憲…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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