2月以降、愛知県警の捜査員たちが佐賀に飛んだ。
「どこの自治体のものを書いたか思い出せますか」
「豊田という地名だったような……」
昨年10月に署名を書き写したアルバイトらは、愛知の土地勘がない。別の捜査員が署名簿の束から、豊田市分を抜き出す。「あなたの字ですね」。同じような筆跡が並んだ署名簿を示し、事情を聴いた。
署名簿に残った見えない指紋。そして手のひらの「掌紋(しょうもん)」。県警はそれらを鑑定し、アルバイトらの供述を裏付けた。名前が記された有権者本人に当たり、署名も代筆依頼もしていないことを確認した。
650キロ離れた佐賀と愛知で、「書いた側」と「書かれた側」がつながった。
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県警が押収した署名簿は数万枚あり、すべて精査するには「数カ月、1年とかかる」(捜査関係者)とみられていた。リコールは請求代表者だけで37人いて、大勢のボランティアも手伝った。出所不明のうわさや、供述の食い違いも目立った。
そうした中、県警は佐賀のア…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル