アパレルブランドH&Mが豪州で展開した広告が「女児の性的対象化につながる」と批判され、削除・謝罪したことがネット上で話題になった。何が問題で、どう受け止めればいいのか。広告とジェンダーに詳しい写真研究者の小林美香さんに、日本の現状も交えて寄稿で読み解いてもらった〈3月4日配信「H&M広告削除が映す『子どもの人権』への姿勢 感覚麻痺(まひ)の日本では」(https://www.asahi.com/articles/ASS2Y4JTHS2XULLI001.html)〉
広告では、おそろいのワンピースを着た女児2人が、ピンクの背景の中で振り向くように立っていた。小林さんは、そえられた英語のキャッチコピーが性的なニュアンスを帯びていたこともあり、女児が「性的な意図も含む視線を向けられること(セクシズム)」や「外見で注目を集めて評価されること(ルッキズム)」を進んで受け入れるように誘導するメッセージとして読み取られた、と指摘。似たコピーが記された別の広告は問題になっていなかったとして、文言だけではなく写真にも「引っ掛かり」を感じさせる要素があったのでは、と分析した。
一方で小林さんは、この広告が明確な性差別的表現として問題視されたことが腑(ふ)に落ちるかと問われれば「おぼつかないものがある」とも記した。
なぜか。英語のニュアンスをつかみづらいこともあるが、日本で目にする広告に「あからさまに性差別的でルッキズムを助長するような表現」が多く、「日々膨大な広告に接する中で感覚が麻痺しているからなのかも」と小林さんは自問する。
広告表現をめぐっては様々な議論が起こる。「炎上した」で終わらせず、そこから得た教訓を、変化への起爆剤にしていければと思う。(編集長・佐藤美鈴)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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