LGBT(Q)が働きやすい職場作りに取り組む企業が増えてきている。 経団連の調査(2017年)によれば、約76%の企業がLGBTに関する取り組みを実施・検討しているという。 「ウチの会社はLGBTに理解があるから」。そんなことを言う人事部の担当者もいるかもしれない。 だが、最近では大手ビジネスメディアの人事部向けのLGBT特集記事が批判を受けるなど、まだまだ理解が進んでいない部分もある。 LGBT向けの就職支援サイトを運営する株式会社JobRainbow CEOで、自身がゲイであることを公表している星賢人さんに聞いてみた。 会社の担当者が多様な性について、学び続けるためにはどうしたら良いですか?
老舗ビジネスメディアの「LGBT記事」への批判。そこから学べることとは
「いま、企業の人事部が知っておきたいLGBTのこと」。大手ビジネスメディア「ダイヤモンドオンライン」が8月18日に掲載したこの記事に、批判の声が上がった。問題とされたのは、LGBT当事者のカミングアウトに関する記載だ。 メディア側は8月24日、記事について《人事部が最大配慮すべきは「当事者に不利益を生じさせないこと」という意図でしたが、誤解を招く表現になりました》と訂正を加えている。 星さんは「多くの人達からの声を受けとめて、記事の修正を行ったということは、メディアのあり方として素晴らしいと思います」と話す。一方で、元々の記事から「社員がカミングアウトをするかどうかを企業が方針を決める」という考えが感じ取れたのは「差別的」であり、これを機にカミングアウトのことを企業の管理職や人事担当者らに知ってほしいという。
「企業が“カミングアウトの方針”を決める」その背景にある“差別”
まず前提として、カミングアウトをする/しないは、当事者の意思の問題であり、いずれの選択にも企業が介入するべきではない。 そして、そもそも私たちは、普段から「カミングアウト」をしている人がほとんどだろう。ここで言うカミングアウトとは家族や恋人など身近な関係を公表することだ。 星さんはこう話す。 「同僚同士、職場でのちょっとした雑談で、家族や妻・夫、恋人の話をするのはとても自然なことだと思います。結婚や出産の際は、上司や人事に、結婚祝い金やハネムーン休暇、家族手当など福利厚生の申請をするのが普通です。それは決して、“カミングアウト”とは見なされません。しかし、同様のことをLGBTQがした途端に、“カミングアウト”として捉えられてしまうんです」 企業が「カミングアウト」に対して何らかの方針を決めることは、社員が家族やパートナーについて自由に話す権利に大きく関わってくるのではないか。 星さんはそんな問題意識を投げかける。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース