佐藤純
埼玉県幸手市教育委員会は5日、2018年度に市立中学1年(当時)の女子生徒が自殺を図ったことについて、いじめ防止対策推進法に基づく第三者委員会の調査報告書を公表した。三者委は同級生らによるいじめがあり、自殺を図ったことと関連があると認定した。
報告書と市教委の説明によると、女子生徒は入学直後に悪口を言われたり、ゲーム形式の授業でやじられたりといったいじめを受けた。9月ごろには、別のクラスの生徒が、同学年の生徒らのLINEグループに、女子生徒を揶揄(やゆ)する選択肢を含むアンケートを投稿し、これもいじめと認定された。
女子生徒はクラスで孤立しがちになり、担任に提出する日記に「最近いやなことしかありません。こそこそなんか話されるし」などと書いた。12月には「死にたい」と書いた。
翌年1月、女子生徒は自宅に遊びに来た友人に「死にたい」と話し、2階から飛び降りようとした。だが、連絡を受けた担任と報告を受けた校長は踏み込んだ対応をしなかった。担任が女子生徒の母親から「今は安定している」と説明されたためだったという。市教委は「けがをしたとは聞いていない」としている。
報告書は、LINEの一件などが「死にたい」と思う原因になったとみられるとし、「関連性が認められる」と結論づけた。さらに、教職員がいじめ対策についての理解を欠いていた、スクールカウンセラーと教職員が危機感を共有できていなかった、などと指摘した。
市教委は20年に女子生徒の保護者からの連絡をきっかけに、三者委を設置。三者委は翌年報告書をまとめたが、公表の方法について女子生徒側と調整していたという。(佐藤純)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル