#MeTooが遅れた日本の映画界から考える、ジェンダー平等の課題

2030 SDGsで変える

 米ハリウッドに端を発し、性暴力やハラスメントの被害者が声をあげ、世界的な連帯が広がった「#MeToo」運動から5年。映画は社会や時代を映す鏡。SDGs(持続可能な開発目標)が目指すジェンダー平等をめぐる課題を、表現の現場から考えます。(伊藤恵里奈)

 2017年秋に米国から広がった#MeTooの波は、ほどなく日本にも届いた。SNS上で性被害やつらい経験を明かす人があいついだのだ。俳優・アクティビストの石川優実さん(35)もその一人。露出の多いグラビア撮影を強いられた経験などをブログで告白した。

「怒ってもいい」という気づき

 だが、映画界を離れるきっかけとなった性被害については語れずにいた。当時の映画界では性被害の告発はあっても、連帯は広がらなかった。その後、ジェンダー問題を深く学ぶなかで「同意のない性行為は性暴力」だと知り、自分は怒ってもいいのだと気がついた。職場でのヒール靴などの強要に抗議する「#KuToo」も始めた。

 今年に入り、過去に映画出演が決まった際に性行為を要求した監督が性被害をテーマにした映画を作ると知り、強い憤りを感じた。2月、監督の名前は出さずに「日本の映画界には地位関係性を利用した性行為の要求が当たり前にあった」とブログに書いた。週刊誌が報じたこともあり、映画は公開中止に。

 この監督は「強要」を否定している。

 「勇気ある告発」といわれる…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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