東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が放送した、ホストクラブ勤務の男性を集めてゲームを競わせ、優勝者に高級車を贈るというバラエティー番組で、優勝決定から約1年を経ても賞品を渡していないことがわかった。優勝者の男性は番組に参加するため約150万円を支払っており、「放送局なので信頼していたが、まさかこんなことになるとはショックです」と話している。MXテレビは番組の企画・制作は外部とした上で、「現在、事実関係を確認中」とコメントしている。
番組は、昨年1~3月に放送された「欲望の塊」。参加者が相撲やクイズ、ばば抜きなどで競い、優勝すると「2千万円相当の超高級スーパーカー」がもらえるという内容。番組を企画した会社の責任者によると、出演者から「宣伝費」などとして参加費を集め、その金をスーパーカーの購入や番組制作に充てたという。
責任者は、スーパーカーのランボルギーニを売りにして参加者を集めたことや、賞品を渡していないことを認めた上で、「優勝者の希望に沿って、換金したいと車屋に伝え、あずけたままにしている。車屋に催促しているが、答えがあやふやなままになっている」と話した。
番組側に約150万円を支払って参加し、競技に優勝した男性は「優勝した後、管理費がかかるため、換金して受け取る約束をした。放送後、番組側に何度催促しても賞品の提供がされず、昨年末からは関係者と連絡が取れなくなった」と主張。「優勝すればランボルギーニが受け取れると聞き、150万円という高い金を払った」と話した。
元毎日放送プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大教授(メディアエンターテインメント論)は賞品がいまだ渡されていないことについての問題点を指摘したうえで、出演に当たってお金を募っている点も「個人を宣伝する広告費のようで、公共の電波を預かっている番組の中でやることではない。テレビとして好ましくない」と述べた。放送した局の責任についても「外部スタッフが作っていようと、局は最終的に責任を負わなければいけない。考査をしっかりやっていたのか。放送してはいけない企画だったのでは」と話した。(定塚遼、西村綾華、黒田健朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル