NHKが未認可事業の整備費を支出しようとしていた問題で、局内で問題が発覚した後の調査の詳細が判明した。稲葉延雄会長が異例の「特命監査」を指示し、前田晃伸・前会長らの聴取を実施。前田氏は「先行投資は必要」「(事業認可のための)実施基準の変更は大前提だった」などと説明していた。しかし実際には基準変更の手続きはされておらず、特命監査は「ガバナンス上、非常に大きな問題がある」と結論づけたという。
問題になっているのは衛星放送(BS)番組のインターネット配信の整備費約9億円の支出について、昨年12月に前田氏や理事ら計9人が承認した稟議(りんぎ)プロセス。放送法は受信料収入の業務目的外での使用を禁じているが、BS番組の配信はネット業務の範囲を定めた実施基準に含まれておらず、実施には総務相の認可を得て基準を変更する必要があった。
稲葉会長は4月24日の理事会で特命監査を指示。複数のNHK関係者によると、稟議に関わった前田氏や理事らを5月上旬にかけて聴取した。特命監査はNHKの規程で定められ、定期監査などと異なり会長自ら指示する監査。NHK関係者によると「特命監査での会長経験者の聴取は聞いたことがない」という。
聴取に対し、前田氏は「先行投資は必要であり、関係役員に説明するよう指示した」と話す一方、基準の変更が前提だったと述べたという。
また、当時経営企画担当の専務理事だった伊藤浩氏は「環境が整えば始めるための準備作業だった。(前田氏から)後ろめたさを持つ必要はないとのことだった」などと語り、問題があるとは認識していなかったとの趣旨を話したという。
一方、他の理事は「(BS配…
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