NHKの最高意思決定機関そのものが、放送法が禁じる番組内容への干渉をしたのか。NHK経営委員会の議事録公開が注目されてきたのは、非公開の会合で交わされた議論にそんな疑いがあるからだ。
ことの始まりは、3年前にさかのぼる。
議事録や国会答弁などによると、2018年4月24日、NHKは「クローズアップ現代+」で、郵便局員がかんぽ生命保険を不適切な営業で販売していたと報道した。その後も情報提供が相次ぎ、8月の放送予定を見据えて続編に向けた取材を続け、7月に2本の動画を番組ホームページやツイッターなどに掲載した。取材結果を一部明かしつつ、情報提供も募る「オープン・ジャーナリズム」という手法だった。
これに対して、日本郵政グループはかんぽ生命など3社長連名の抗議文をNHK会長宛てに届けた。「詐欺まがい」「押し売り」などの言葉が名誉毀損(きそん)だとして、動画の削除を要求。番組側は動画を修正したうえで郵政側に取材を交渉したが、拒否された。
この取材交渉中に、番組の責任者が「番組制作と経営は分離しているため、会長は番組制作に関与しない」と発言したことを郵政側は問題視した。「番組制作・編集の最終責任者は会長であることは放送法上明らか」と改めて抗議し、ガバナンス(企業統治)の検証を求めた。番組は動画を削除し、予定していた番組続編の放送延期を郵政側に伝えた。
事態はここから、NHKの経営委員も巻き込んで思わぬ展開をたどっていく。
9月25日、日本郵政の鈴木…
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
残り:2109文字/全文:2744文字
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル