漁師は家でどんな顔を見せているのだろう。毎朝一番早く浜に来る50代半ばの漁師の妻(53)に聞いた。
「がんばったぶんクジラや魚がとれて…」
25年まえに結婚しました。そのころ夫は新宮(和歌山県新宮市)で別の仕事をしていて、追い込みをやっている父親のあとを継ぐというので、夫婦で太地へ越してきました。
太地は店が少なくて不便だけど、人数が少ないぶん、子どもたちはみんな仲がいい。お母さん方も役場の人もみんな顔と名前がわかる。子育てするにはいいところです。
夫は漁師になってから朝の真っ暗な時間に出ていくから、最初は「こんな時間に?」って。そのころは私もいっしょに起きていたけど、子どもができてからは夫だけ先に起きています。
結婚まえ、夫は生ものが好きじゃなかった。回転ずしでは肉のすしばかり。私が「自分がとったものなんやから、供養と思って食べなあかん」と言ってクジラや魚の刺し身を食卓に出したら、おいしかったみたいで食べるようになりました。
夫から聞く仕事の話といえば、クジラを追い込んだ日に「(群れを)見つけたのは俺や」とか「今日はトンボ(ビンチョウマグロ)を7本釣った」とか。私が「すごいね」と言うとうれしそうにしています。
町で反対運動が激しかったときは「朝行ったら外国人がいっぱいいて、パシャパシャ撮られて気分悪い」と言っていました。
反対派が自宅まで来た漁師さんもいて、怖いなって。夫も「インターホンが鳴っても出るな」って。
最近は日本の人が撮影して、SNSにあがってる。1回投稿を見たら、自動的にあがってくるようになりました。
そこに夫が映ってる。力仕事…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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