警察当局が、講演などを通じた企業や研究機関への働きかけを強めている。先端技術の情報が海外に漏れるのを防ぐ狙いがあり、「アウトリーチ活動」と呼ぶ。中国やロシアを念頭に、経済安全保障の強化を図る政府とも足並みをそろえた動きだ。
SNS経由のスパイ接触、英で1万人
12月中旬、一般社団法人の日本機械工業連合会は東京都内でオンライン講演会を開いた。機械メーカーなどの関係者約110人に解説したのは、警察庁の吉田知明・経済安全保障対策官だった。スパイの具体的な手口として大手化学メーカーの社員が狙われた事例を挙げ、こう解説した。
社員の個人SNSに、海外の諜報(ちょうほう)員からヘッドハンティングを装ったメッセージが届いた。「我が社で新規のプロジェクトチームを立ち上げるので、あなたの技術で指導してほしい」と書かれていた。
報酬や情報の提供を約束され…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル