岡口基一・仙台高裁判事(56)がSNS上で殺人事件の遺族を傷つけるような投稿をしたのは、罷免(ひめん)(辞めさせる)に値するか――。戦後10件目となる弾劾(だんがい)裁判が2日、始まった。事件関係者との癒着や犯罪といった過去9件とは異なる審理内容で、弁護団は争う姿勢を示した。
裁判官は憲法上、身分が手厚く守られ、ほかの公務員と違い問題を起こしても内部処分で罷免させられることはない。こうした身分の保障について、土屋孝次(たかつぐ)・近畿大教授(憲法)は「国民の権利を守るという使命を果たすため、政治や行政といった大きな勢力と対峙(たいじ)することもある。独立した判断をするための配慮だ」と説明する。
弾劾裁判は「例外的に辞めさせる制度」で、罷免されるのは「職務上の義務に著しく違反し、または職務を著しく怠った」か「職務の内外を問わず、裁判官の威信を著しく失う非行があった」と認められた場合に限られる。
戦後に開かれた9件の弾劾裁…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル