石垣明真
同性カップルに対して、異性間の内縁関係も対象となる扶養手当などを支給しなかったのは憲法が保障する「法の下の平等」に反するとして、元北海道職員の佐々木カヲルさん(53)が道と地方職員共済組合に損害賠償を求めた訴訟で、佐々木さんに対する本人尋問が17日、札幌地裁(右田晃一裁判長)であった。佐々木さんは「公の機関である職場で、自分の意思では変えられない性的指向を理由に、差別をされた」と訴えた。
佐々木さんは自らの性を「男ではなく女ともいえない」と自認し、女性パートナーと生活する。訴状などによると、道職員だった2018~19年、道に寒冷地手当の増額と扶養手当を申請し、地方職員共済組合には扶養認定を届け出たが、いずれも却下された。
佐々木さんは法廷で、「2人は愛情と信頼に基づく真摯(しんし)な関係である」とする契約書をパートナーと交わし、婚姻の意思をもって共同生活をしてきたと説明。結婚指輪をはめた左手を裁判官に掲げ、「これからもずっと、死ぬまでパートナーと一緒にいたいという気持ちで購入した」と述べた。パートナーとの関係を認められなかったことで、「自分が完全に否定された気持ちになり、仕事に行けなくなってしまった」と訴えた。
訴訟は結審し、判決は9月11日に言い渡される予定。
佐々木さんは「性的指向(Sexual Orientation)」と「性自認(Gender Identity)」の頭文字をとった「SOGI(ソジ)」を用いて、「SOGIハラ(ハラスメント=嫌がらせ)訴訟」と呼んでいる。
佐々木さんは裁判後の集会で、「私たちのことを理解してもらえなくてもいい。けど、差別は解消してほしい」と話した。(石垣明真)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment