TBS系のバラエティー番組「消えた天才」で、野球やサッカーなどの試合映像を早回しし、実際より速く見せていた問題について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(神田安積委員長)は13日、放送倫理違反があったと認定する意見を公表した。
審議対象は2018年1月、11月、19年8月の3回分の放送。8月の放送では、当時12歳だった少年の野球の試合映像を放送した際、投球シーンの全31球のうち7球で、投手がボールを投げてからキャッチャーミットに収まるまでの約0・5秒間について、実際のスピードの115~156%の4段階で、映像を早回しする加工を施していた。番組のスタッフから指摘があり、TBSが確認すると、TBSの社員や外部の複数のディレクターが関与を認めたという。同社は昨年9月、番組ホームページなどで謝罪し、10月には番組の終了を発表していた。
意見書では、「スタジオの出演者や視聴者に対して『実際の映像』と言いながら、またはそう受け取れる状況で、映像の早回し加工が繰り返された。映像の加工であれ、事実を曲げる手法は過剰な演出と言われてもやむをえない」と指摘。1993年にNHKと日本民間放送連盟(民放連)の番組倫理委員会が出した「放送番組の倫理の向上について」と題する提言や、「ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない」ことを定めた民放連の放送基準、また「ドキュメンタリーや情報系番組においても虚偽や捏造(ねつぞう)が許されないことはもちろん、過剰な演出にならないように注意する」とした同基準の解説に照らし、これらの規定に抵触しているとした。(西村綾華)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル