V字回復導いた、コロナ禍の招き猫 猫カフェ「ジオラマ食堂」

 線路を走る電車の脇で無邪気に遊ぶ猫たち。ビル街を気ままに歩き、走る列車に猫パンチ。三重県伊勢市のテーマパーク「伊勢忍者キングダム」内の猫カフェ「ジオラマ食堂」の風景だ。昨年9月のオープン以来、特撮映画のような動画がSNSで人気を呼び、猫好きが集まっている。

 この異色の組み合わせの裏側には、偶然の出会いがあった。開店に携わった寺岡直樹さん(59)は2020年夏、コロナ禍による経営難で、大阪市天王寺区で運営する鉄道ジオラマを楽しめる喫茶店「ジオラマ食堂」の閉店を考えていた。ちょうどその頃、店の近くで子猫4匹と母猫を保護。客のいない店内で自由に遊ぶ様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で流したところ大きな反響があり、感染予防のための行動規制中にもかかわらず猫好きがどっと押し寄せ、経営がV字回復した。

 「店を救ってくれた猫たちに恩返しがしたい」。

寺岡さんは店の2階にシェルターを設け、保護猫を受け入れ始めた。そして昨年9月、寺岡さんの活動を知った同テーマパークが寺岡さんを顧問に迎え、シェルターを併設した同様の店を開店した。

 これまでに保護した猫は両店合わせて約400匹。うち300匹近くを新しい飼い主に譲渡した。最近では外国人観光客も訪れるほどの人気スポットになったが、寺岡さんは「全く想定していなかった。コロナ禍だったからこそできたお店。譲渡会などを通して出会いの場を提供し続けたい」と話す。(溝脇正)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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