ロシアのウクライナ侵攻に絡み、ロシア外務省が北方領土問題を含む日本との平和条約交渉を継続せず、ビザなし交流なども停止する考えを明らかにしたことに対し、早期の領土返還を願ってきた北海道の元島民らには憤りや落胆が広がった。
四島の元島民らでつくる千島歯舞(はぼまい)諸島居住者連盟(千島連盟)の根室支部長代行で、歯舞群島・勇留(ゆり)島出身の角鹿泰司さん(84)は「自由と平和の時代にロシアは、交渉でなく軍事力でものごとを決めようとしている。まかり通らせてはだめだ」と憤る。
ロシア外務省の声明では、四島へのビザなし交流や自由訪問について永続的な「打ち切り」か一時的な「停止」かはっきりしていない。
北方墓参は停止の対象になっておらず、角鹿さんは「状況の変化によっては、再開に含みを持たせているともいえる。ロシアも制裁などで、困っているのではないか」と望みをつなぐ。「とにかくウクライナでの戦火がやんで情勢が正常化し、1日でも早く元島民が早く再び島を訪れる日がきてほしい」
終戦直後の旧ソ連軍による四島占領時に1万7291人いた旧島民で健在な人は、今年2月の段階で5492人。平均年齢も86・6歳と高齢化が進む。
北海道によると、1992年…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル