神仏や精霊、化け物など「あやかし」の事件を担う京都府警の特殊部隊を題材にした人気小説の主人公が、7月から府警の採用活動に加わっている。府警によると、小説の主人公が採用活動にかかわるのは、全国の警察で初めてという。
人気小説は、京都市出身の作家天花寺(てんげいじ)さやかさんが執筆する「京都府警あやかし課の事件簿」。主人公の古賀大(こがまさる)は人外特別警戒隊ともよばれる「あやかし課」の新人隊員で、京都であやかしが絡む事件を人知れず解決している。
小説には古賀大のイラストが描かれている。このイラストがインターネット利用者の属性や検索内容などに合わせて配信する府警の「ターゲティング広告」の動画に出演する。府警の採用試験の競争倍率が下がるなか、仕事のやりがいをアピールする。
7月3日、府警本部で有馬健二警務部長から画面越しに委嘱状を渡された古賀大。「私の大好きな京都の街を守るために一緒に働いてくれる人を増やすことができたら、本当に素敵ですよね。がんばって活動します」と意気込んだ。
ターゲティング広告の動画では、祇園祭や鴨川などの映像を背景に「技術革新が進み、新たな世界が創造されようとも必要とされ続ける仕事」と警察官の魅力を伝える。
天花寺さんは「架空の存在として作ったが、実際に府警が受け入れてくれたので感謝している。もう私だけの大ちゃんじゃないんだなと思った」と喜んだ。
近年、府警の採用試験の競争倍率は下降気味。2019年度は5・9倍だったが、昨年度は4・4倍に落ち込んだ。
府警は3月にも、ネット上の仮想空間メタバースで業務説明会を開いた。ユニークな採用活動を展開して、志願者数を増やそうとしている。今年度の第2回試験の受付期間は8月14日まで。(西崎啓太朗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル