岐阜市の河渡橋の下で路上生活をしていた渡辺哲哉さん(当時81)が襲撃され、死亡した事件から約1年。共に20歳の元少年2人は11日に岐阜地裁であった初公判で、起訴内容を認めた。法廷では、事件当日の被告らの行動や事件に至る経緯が明らかになった。
午前10時すぎ、会社員だった元少年と無職の元少年の2人は黒いスーツに身を包み、法廷に姿を見せた。
検察官が起訴状を読み上げると、2人は座ったまま、か細い声で「間違いないです」と起訴内容を認めた。白いマスク姿で、表情はうかがい知れなかった。
事件当日の昨年3月25日未明、被告らは二手に分かれ、渡辺さんと友人女性が寝ているところを挟む形で石を投げた。検察側の証拠調べでは、事件当時、被告らが使っていたスマホの通話アプリの会話内容が明らかになった。
「待って、石がない」「俺らいけるよ」「3、2、1でいくで」「いくよー。3、2、1。ライト、ライト、ライト」
裁判員らにはその音声も公開された。会社員だった元少年は髪を短くそろえ、イヤホンを軽く指で抑えながら聞いた。一方、襟足が首の下あたりまで伸びた無職の元少年は、終始うつむき加減でほとんど動かなかった。
事件現場の河川敷の防犯カメラの映像も、証拠として廷内に映し出された。暗闇の中、2人が渡辺さんと女性を前後で挟み、ライトを照らし追いかける姿が鮮明に映っていた。両被告は約2分の映像をじっと見つめていた。
複数の少年がホームレスを襲った事件に、社会的な関心が集まり、コロナ禍で一般傍聴席が34席しかない中、開廷前には141人が傍聴券を求め岐阜地裁に集まった。
「止められず後悔しています」
事件前に2人と一緒に渡辺さん…
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル