石垣明真
北海道警に逮捕された後、勾留中に弁護士との接見内容を記した「被疑者ノート」を警察官に取り上げられたり、自白を強要されたりしたとして、その後不起訴処分になった女性と担当弁護士が、黙秘権などを侵害されたとして道に慰謝料を求めた国家賠償請求訴訟の口頭弁論が31日、札幌地裁(布施雄士裁判長)であった。取り調べ時の映像記録が約10分間、法廷で再生された。
道警は2021年6月、幼い息子をクローゼットの中に閉じ込めたとして、女性を監禁容疑で逮捕。病院に運ばれた息子は、女性が逮捕された翌日に死亡した。女性はその後、嫌疑不十分のため札幌地検から不起訴処分とされている。
取り調べの様子は、椅子に座る女性と、机を挟んで取り調べをする警察官を画角に入れて、斜め上から撮影されていた。
映像記録は、何か言わなければいけないことはないかなどと問う警察官に対し、首を横に振った女性が「何も言いたくないです」と答えるシーンから始まった。その後、黙秘の理由について女性は「自分の中でちゃんと話したつもりでも、あることないこと書かれたりもしてるんで」などと説明した。
黙秘を続ける女性に対して、警察官は「供述拒否権あるよって言ってるけど、本当のことを言わなくてもいい権利でもない」などと説明。「(息子は)いらない子だったの?」「じゃあ産まなきゃよかったんじゃないの?」などとも述べていた。
原告側の吉田康紀弁護士は「黙秘権とは包括的に何も言わなくてもいい権利のことだ。これが違法な取り調べでなくて何なのか」と批判した。(石垣明真)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル