北九州市内の私立高2年の女子生徒=当時(16)=が2017年4月に自殺した問題で、いじめとの因果関係などを調べていた福岡県の再調査委員会(委員長・田辺宜克弁護士)は16日、報告書を公表し「いじめが自殺の主な原因と断定できない」と結論づけた。一方、「学校生活の友人関係のトラブルが自殺に何らかの影響を与えたことは否定できない」とも指摘した。
学校の第三者委員会は昨年6月、同級生4人が自殺の1週間前に昼食を一緒に食べなかったことや、17年3月の終業式の日に女子生徒を外して写真撮影したことなど3件をいじめと認定したが、自殺との因果関係は否定。報告書に納得できない遺族側は、県に再調査を求めていた。
再調査の報告書では3件に加え、女子生徒と校内や無料通信アプリLINE(ライン)上で口論したことなど2件も新たにいじめと認定した。女子生徒と同級生が一時は仲が良かった点を踏まえ、「関係修復が不可能な出来事として捉え、大きな失望感や喪失感があり、孤立感が膨らんだ」と推察。一方で「友人関係のトラブル以外に家庭問題や部活動の悩みなど複合的な要因が考えられる」とし、あくまでいじめは自殺の一因との認識を示した。
再調査委は、いじめ防止対策推進法が教員や専門家でつくる「いじめの防止等の対策のための組織」の設置を各校に義務付けているにもかかわらず、この学校は未設置だったことなども問題視した。
女子生徒は17年4月、登校途中に首をつって自殺。自殺前、同級生にラインで「私に何かあったらあんたたちのせい」といったメッセージを送っていた。
「仲間外れでも死選ぶ」遺族が会見
「身体的なものがいじめと捉えられがちだが、仲間外れでも死を選んでしまうという事実を伝えたい」。2017年4月に北九州市内の私立高2年の女子生徒が自殺した問題。福岡県の再調査委員会から報告書を受け取った父親(42)は県庁で記者会見し、無念さをあらわにした。
父親は「大人には見えづらいいじめが続いていた」と、実態を完全に把握する難しさを口にした。同席した代理人弁護士も「現代型のいじめは無視と、はぶり(仲間外れ)」と説明。悪ふざけのような行為でも、思春期では孤立感が長引けば命を絶つほど思い詰める恐れがあると指摘した。
再調査委は、友人関係のトラブルが自殺に何らかの影響を与えたと認定。父親ら遺族は因果関係を否定した学校の第三者委員会よりも「一歩踏み込んだ判断」として、一定の評価をした。それでもいじめが自殺の主原因と断定しなかったことに、父親は「主な原因はいじめだ。そうでないと説明がつかない」と力を込めた。今後は、学校に対して、報告書への認識を問うという。
西日本新聞社
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