第4次少子化社会対策大綱がまとまるのを前に、全国社会福祉協議会は2月5日、衛藤晟一・内閣府特命担当大臣(少子化対策)に対して、保育士や児童福祉施設職員の給与改善などを盛り込んだ要望書を提出した。国の少子化対策の基本方針となる新大綱は、昨年から内閣府の検討会で議論を開始。仕事と子育ての両立や、地域による子育て支援策などが盛り込まれる見通しで、3月末の策定に向け調整が大詰めを迎えている。
要望書は、2019年の出生数が90万人を切り、過去最少だったことから、少子化への早急な対応は喫緊の課題だと指摘。すべての子どもや子育て家庭に妊娠期から子どもが成育するまでの切れ目のない支援を構築していくことが重要だと強調した。
その上で、保育士や児童福祉施設職員の給与や労働条件を改善し、職員の確保や育成のための方策を拡充するよう要望した。具体的には、現在、加算で行われている処遇改善を公定価格に盛り込んでもらう狙いがある。
また保育の質向上に向け、消費税以外の3000億円を含む総額1兆円超の財源を早期に確保することも求めた。いまだに実現していない1歳児と4・5歳児の職員配置の改善や、保護者支援を拡充してもらいたい考えだという。
このほか(1)保育機能の拡充(2)社会的養育が必要な子どもたちの養育環境の改善(3)保育所や乳児院などで障害児を受け入れるための支援拡充――なども盛り込んでいる。
同日の要望活動には、清家篤・全社協会長のほか、桑原教修・全国児童養護施設協議会長、平田ルリ子・全国乳児福祉協議会長、万田康・全国保育協議会長、村松幹子・全国保育士会長、菅田賢治・全国母子生活支援施設協議会長、武居敏・全社協政策委員長も同席した。
清家会長は「さまざまな社会ニーズがあるが、職員は従来の仕事にプラスアルファでやることになる。現場の大変さを理解していただければ」と強調した。これに対し衛藤大臣は「一生懸命に頑張りたい。各施設が充実する問題と、少子化対策は根っこがつながっている。抜本的に考えないといけない」などと応じた。
続けて、桑原会長は「施設の子どもの状況は重篤化している」とし、人材確保と専門的なケア機能を整備する必要があるとの考えを述べた。平田会長は地域での虐待予防に力を入れる方針を示し「施設の子どもも地域に帰るという循環がある」と指摘した。
また、万田会長は「職員の処遇は14年から19年までに13%見直されたが、全職種の平均賃金と比べるとまだ差がある」と要請。村松会長は「保育士は余力があれば地域支援をしたい」と述べ、地域の子育て家庭を支援するための手当てを求めた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース