電車のなかに響く赤ちゃんの泣き声、通勤ラッシュの満員電車内のベビーカー、小さな子ども連れ禁止のレストラン…。
いまの日本社会は、まだまだ「子ども連れ」に厳しい。子どもを連れての公共交通機関利用や、飲食店の利用に冷たい視線を投げかける人がいます。「子どもが大きくなるまでは」とさまざまなことを我慢している人も多いのではないでしょうか。
そうした日本の現状を横目に、子連れ旅行を積極的に楽しんでいるのが、台湾がもっと好きになるウェブメディア「Howto Taiwan」の編集長を務める田中伶さんです。そんな田中さんでも、子どもができたとわかった時は、「大好きだった旅行にもう行けない」と戸惑ったと言います。田中さんはどうやって子連れ旅行を楽しんでいるのか。アドバイスなどを聞きました。
―著書『FAMILY TAIWAN TRIP #子連れ台湾』(ダイヤモンド・ビッグ社)は「大丈夫。どんどん子連れ外出しましょう」とママたちを励ます内容ですね。でも、2016年の秋に妊娠がわかったとき、「どうしよう」という戸惑いのほうが大きかったとか…
そうなんです。学生時代に2年間留学して以来、すっかり台湾に魅了され、もっとこの国のいいところを知ってもらいたい! と台湾の情報を紹介するWEBメディアを立ち上げたとたんに、妊娠がわかりました。
ネットや雑誌などから漏れ聞こえてくる先輩ママの話は、「子どもができたら、自分の自由は皆無になる」「外出には困難がつきまとう」といった暗いものばかり。自分自身、電車の中などで赤ちゃんが泣いて困り果てている母親を、居合わせた人たちが冷ややかに見つめるシーンに何度も遭遇したので、台湾旅行や食べ・呑み歩きといった大好きなことは、子どもが大きくなるまでお預けなんだなって。
いつかは子どもができたらいいなと思っていたけれど、「子どもが生まれたら自由がなくなる」と強く信じ込んでいたから、「このタイミングで!?」と戸惑いを感じてしまったんです。
―子どもができるという幸せなはずの出来事に戸惑いを感じたあと、どうしたんですか?
「子どもがお腹にいるうちにできる限り、台湾へどんどん行っておこう」と決めたんです。出産予定日を逆算して、とことん台湾取材の予定を詰め込みました。
台湾へは片道約3時間。妊娠中の飛行機や電車での移動はお腹の中の子によくないという情報もあって少々悩みましたけど、先輩ママの「私の体験上、平気だと思う」という言葉を信じたんです。もちろん家族や周囲からは心配されました。「つわりが落ち着いたから大丈夫!」「まだ行ける!」「次こそが最後!」「子どもが産まれてきたら、『囚われの身』になるのだから、今回だけは許して!」と夫を泣き落としました(笑)。
今思えば危なっかしいし、囚われの身だなんて思い込んでいたことが恥ずかしいですけれど。
妊娠したことをいつ誰に伝えるか?というのは悩みがちなポイントですが、私は妊娠の比較的早い段階から周囲に妊娠したことを伝えていました。体調不良など突発的な出来事で迷惑をかけないためにというのはもちろん、きちんと伝えることでサポートや気遣いをしてくれる味方を作ることができるとわかりました。出産ギリギリまで思いっきり大好きな台湾の取材をしていた私のように、強力な味方がいれば充実したマタニティライフが送れると思いますよ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース