富岡万葉
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され、殺害された事件をめぐり、市消防局が14日、救急車の出動命令から約50分間に及ぶ消防無線の交信記録を公表した。出動命令から3分後には「CPA(心肺停止)状態と思われます」「至急向かってください」と交信するなど、緊迫したやり取りが明らかになった。
交信記録は、銃撃直後の8日午前11時32分9秒の出動命令から始まる。3分後には、現場に向かう救急車に対して「高齢男性 拳銃で撃たれ現在CPA状態と思われます」「至急向かってください」と伝達。その5分後には、消防本部から「一方的に発報します。本件ドクターヘリ出動させます」と通信していた。
同48分35秒には「頸部(けいぶ)、頸部に銃創あり。CPA。心静止」と傷の状況などが伝えられ、ドクターヘリに乗せられ、奈良県立医大病院(橿原市)に向かったことを確認した後、救急隊が現場を引き揚げるまでの交信が記録されていた。
安倍元首相は午後5時3分に死亡した。死因は失血死とみられるという。
当時、安倍元首相の後ろで演説を聞いていた仲川げん・奈良市長は14日、記者会見で「本当に残念な思いで憤りを強く感じる。傷ついた市民の心をどう癒やせるか責任をもって対応したい。安倍元総理には申し訳ない、という思いがあふれかえっている」と話した。(富岡万葉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル