静岡県教育委員会は、公立小中学校の児童生徒を対象に実施した教職員によるセクシュアルハラスメント(セクハラ)のアンケート結果を公表した。「不必要な身体的接触」や「羞恥(しゅうち)心を害する内容の発言」などの回答が計88件寄せられたが、懲戒処分に当たる事案は確認されなかったという。県教委は調査結果をもとに、教職員自らの言動を振り返るチェックリストを作成し、意識啓発を図る。
アンケートは、わいせつ事案による教職員の懲戒処分の多発を受け、昨年12月~今年3月に初めて実施した。県内の政令指定市を除く公立小中学に通う小学5年~中学3年生の計9万9859人が対象。9万6692人(回答率96・8%)から回答を得て、4月下旬に結果を発表した。
このうち「自身もしくは友人がセクハラを受けた」という回答は計88件あった。小学校で25件、中学校で63件だった。同一の教職員による情報が複数寄せられた事例もあった。
内容別で、最も多かったのは「不必要な接触」の46件。「授業中に頭や顔を触られた」「通りすがりに髪を触られた」「部活中に腰の辺りを触られた」といった事例があった。次に多かったのが「不必要な接近」が16件で、「部活中、距離が近くじろじろ見てくる」「換気のために女子トイレに入って窓を開けた」などがあった。
また、「羞恥(しゅうち)心を害する内容の発言」は9件で、具体的には「友達が『いい体になったね』と言われた」「体重を他の生徒にばらされた」などだった。
ほかにも、「体育のときに『かわいいね』と言われ怖かった」「授業中に『男だから泣くな』と発言した」「女子生徒に卒業したら連絡先を交換するよう話していた」という回答が寄せられた。
県教委によると、回答をもとに不適切な言動が確認されたものについては、各学校で教職員に注意指導をした。再発防止を徹底するため、県教委は市町教委に継続的な観察や指導を求めるという。
昨年度の教職員の懲戒処分は25件。そのうち11件がわいせつ関連で、児童や生徒に対するわいせつが7件、職員に対するわいせつが1件、一般の人に対するわいせつが3件だった。19年度も懲戒処分事例で、児童や生徒に対するわいせつ事案が7件あった。
県教委は今年度も同様の調査を実施する方針だ。担当者は「潜在事案をあぶり出すとともに、児童生徒と教職員のセクハラに対する意識も高めていきたい」と話す。(黒田壮吉)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル