名古屋市の南西、「日本一リッチな村」とも呼ばれる愛知県飛島村では毎日4回、村民に時刻を知らせるためサイレンを鳴らしていたが8月から1回に減らす。村は「時代の流れ。携帯電話でもわかるし、必要性がなくなった」と説明している。
正午、飛島村役場の屋上に設置されたサイレンが「ウ~」という音を上げる。20秒あまりすると低くなり、さらに数十秒、辺りに響いて切れる。午後3時と5時、7時にも鳴る。
村総務課によると、1979(昭和54)年にはすでに定時で鳴らしていたが、いつから始まったのかは不明だという。目的は主に農作業をしている人に時刻を伝えるためだった。
ただ近年は、農作業を農業法人などに委ねる人も増え、時間を知らせる必要性もなくなっていた。村へ引っ越してきた人が「何の音ですか?」と問い合わせをしてくるケースもあった。
そのため7月を周知期間にして8月1日から、点検を兼ねて鳴らすのを1日1回だけにする。将来は無くす可能性もあるようだ。
飛島村は臨海部に多数の企業が立地し、固定資産税、法人村民税による収入で潤い、財政の豊かさを示す財政力指数は長年「2・0」超で全国1位を誇る。かつての「農業の村」からは様変わりしており、大きな反対の声は出なかったという。「他の町ではサイレンなんて鳴らしていないから珍しいだろうけど、聞き慣れていたから減るのは寂しいと言えば寂しいね」(75歳女性)という声も聞かれる。
ただ正午以外でも、村内で民家火災があった場合や、秋の火災予防運動の期間中には啓発のため夜、鳴らすことにしている。また体操のオルゴール放送を毎日午後4時から午後3時に変更して流すという。(臼井昭仁)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル