「修繕積立金を見直しませんか」
自分たちの月々の負担を増やそう――。思い切った提案だった。
70代の男性は、大阪市内にある築20年超の分譲マンションで暮らす。
理事会でそう問題提起したのは、数年前のことだ。
契約時に「5年ごとの見直し」とされていた長期修繕計画は、10年ほど前に一度見直されたきり、放置されていた。
前回の計画見直しの翌年、修繕積立金は1平方メートルあたり70円程度から110円程度に値上げされた。当時の管理会社は約170円を提案したものの、住民は大反対。しかし、国土交通省のガイドラインでは同じ規模のマンションだと335円が平均とされている。
「いずれ足らなくなるのでは」
そんな危機感からの理事会での提案。しかし、ともにマンションを管理する「仲間」であるはずの理事たちの反応は、鈍かった。
「そこまで考えなくても……」
「今は別の課題が……」
理事は、2年交代で輪番制。「自分の期で、面倒なことをしたくない」という思いも感じた。
管理組合の活動が、活発とはいえないマンションもあるようです。議論が深まらない総会や理事会。さらに悩みを深めたのが、コロナ禍。オンライン化が進まない背景にあるものは。記事後半で、コロナ禍の総会の現状を紹介しています。
男性は、その後も「マンションをよくしたい」と理事会で積極的に発言するようにしていた。
しかし、ほかに意見をする人はほとんどいない。「自分は煙たがられているのでは」という不安も感じるようになった。
そもそも、会議は管理会社が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル