自分が産んだ赤ちゃんを遺棄したとして、名古屋地裁岡崎支部が愛知県西尾市の元看護学生(21)に有罪判決を言い渡した。元看護学生は裁判で、相手男性から中絶の同意書にサインが得られず、手術できなかったと証言した。しかし、今回は中絶に同意が必要だったのか? 背景を探った。
昨年6月2日、市職員が公園の植え込みに置かれていたポリ袋を見つけた。中にはへその緒がついた男児の遺体が入っていた。
4日後、元看護学生が逮捕された。
公園のトイレで男児を出産後、適切な保護をせずに死なせ、遺棄したとして、保護責任者遺棄致死と死体遺棄の罪で起訴され、今年5月に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡された。
公判での供述などによると、元看護学生は事件当日、通学途中に下腹部からの出血を感じ、公園のトイレに入った。
トイレに入った後の意識があいまいで気づいた時には出産し、男児は死亡していたと証言。登校していないと連絡を受けた母親がトイレにいるのを見つけて病院に連れて行った。
判決「父親の不誠実な対応が発端」
元看護学生は、母親がトイレを離れた隙に、隠していた遺体を植え込みのそばに置いたという。
妊娠が分かってすぐ、男児の父親にあたる小学校の同級生にSNSで連絡。2人で中絶すると決めた。同級生は、医師から求められた中絶の同意書にサインするとも約束した。
しかし、同級生は友人から「(中絶費を)ゆすられているんじゃないか」などと言われ、連絡を絶った。元看護学生は同意書にサインがもらえず、予約した手術を2回キャンセル。別の複数の病院に同意書なしで手術ができないか問い合わせた。
だが、被告人質問で元看護学生は「双方の同意が必要」と言われたと明かし、中絶できる期間を過ぎてしまったという。
判決は「犯行に至る経緯には、被害者(男児)の父親の不十分かつ不誠実な対応が発端にある」と指摘した。(山本知佳)
同意なしの中絶、例外は三つ
母体保護法は中絶できるケースについて、妊娠の継続や分娩(ぶんべん)が身体的、経済的に困難な場合や、強制性交による妊娠などに限っている。
そのうえで、医師が本人と配…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル