麻疹(はしか)患者が東京メトロで移動したため、千葉県は患者が乗車した路線名と時間帯を公表し、利用者が麻疹患者と接触した可能性があるとして注意を呼び掛けている。都内の公共交通機関を麻疹患者が利用するケースが後を絶たないが、東京都は利用状況の公表を控える一方、千葉県などは公表しており、首都圏内で対策に格差が生じている。【新井哉】
千葉県によると、東京メトロを利用したのは、市川市在住の40歳代の男性患者。この患者は5月26日正午ごろ、東京メトロの南行徳駅で東西線に乗車し、茅場町駅まで移動。同駅で日比谷線に乗り換え、神谷町駅で降りた。また、同駅で午後10時半発の日比谷線に乗車。茅場町駅で東西線に乗り換え、南行徳駅で降りたという。
この男性のケースでは、市川保健所が5月25日以降の感染可能期間中に患者に接触した人について調査を行い、接触者の健康観察を実施しているという。
埼玉県も患者が公共交通機関を使った場合は、日時や路線名などを公表している。3月に公表した、さいたま市在住の40歳代の男性患者のケースでは、JR埼京線(中浦和―池袋)と山手線(池袋―高田馬場)を利用していたという。神奈川県も公共交通機関の利用状況は公表対象としている。
東京都は、保健所が接触者などの把握に努めているとしているが、積極的に公共交通機関の利用状況を公開している3県よりも情報収集力が高いとは言い難い。麻疹患者と接触した可能性があることを知っていれば、感染の疑いを持ち、医療機関の受診時に公共交通機関の利用を避ける可能性が高まる。
麻疹の潜伏期間は10―12日程度であるため、患者と接触している可能性がある人に情報を周知する時間的な余裕はあるはずだ。千葉など3県の麻疹患者の情報公開には、感染可能期間に公共交通機関を利用することを控えてもらうことで感染の拡大防止につなげる狙いがある。
こうした感染拡大防止の観点から、麻疹患者の公共交通機関の利用状況などを非公開としている都の対応について、検証や改善を求める声が出始めている。都内の2019年の麻疹患者報告数(2日まで)は99人で、都道府県別でトップの大阪に次いで多い。東京オリンピックへの影響を最小限に抑えられるかどうかは都の対策強化が鍵を握りそうだ。
CBnews
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