すっかり秋が深まり、日本列島は赤や黄色の錦秋に染まってきています。
紅葉といえばモミジ、黄葉といえばイチョウを思い浮かべますが、それ以外にも色鮮やかな木はたくさんあります。森林総合研究所の樹木生理研究室長・飛田博順さんに紅葉のしくみを伺い、紅葉の美しい木を紹介してもらいました。
葉が赤や黄に色づくのはなぜ?
紅葉は正確には葉が赤く色づく「紅葉」と、葉が黄色くなる「黄葉」に分けられます。そのメカニズムを飛田さんに説明してもらいましょう。
【紅葉のしくみ】
「厳しい冬を乗り越えるために、多くの樹木は葉を落とします。日が短くなると葉の老化が進み、気温の低下で葉と枝の間に“離層”と呼ばれる組織が形成されます。すると、光が当たる葉では、光合成によってつくられた糖分は枝に送れなくなって葉に蓄えられ、赤い色素“アントシアニン”の合成が進みます。落葉前に葉が赤くなるのは、赤い色素がつくられるからです」(飛田さん)
【黄葉のしくみ】
「黄色い色素の“カロテノイド”は常に葉にありますが、ふだんは光合成を行う緑の色素“クロロフィル”の方が多いため葉は緑色に見えます。しかし、落葉前にはクロロフィルが分解されて失われてゆき、後に残った黄色が目立つようになるのです」
紅葉は昼夜の気温差が深く関与していると言われています。
「気温が低くなるとアントシア二ンの量が増え、葉はより赤く色づきます。成分含有量のバランスにより、深紅になったり黄金色になったり色や濃度が異なるのは、それぞれの樹種の個性と言ってよいでしょう」と飛田さんは解説します。
モミジやイチョウ以外に美しく色づく木を紅葉と黄葉で5つずつ、飛田さんにリストアップしてもらいました。
黄葉の美しい木5選
【カラマツ】
飛田さんのお気に入りは針葉樹のカラマツ林だとか。「落葉性の針葉樹で、新緑のときも美しいのですが、秋の黄葉も見事です」
【ブナ】
ブナ林の圧倒的な黄葉の美しさもおすすめ。冷温帯を代表する樹種です。
【ミズナラ】
秋にはどんぐりの実をつけます。「年によって色鮮やかな年とそうでない年とあり、当たりはずれがあるかもしれません」(飛田さん)
【シラカバ】
正式にはシラカンバと言います。「カエデが春に葉を開いて1年中その葉を維持しているのに対して、シラカバは一つの芽から春に2~3枚葉を開いた後、夏にも葉を数枚開きます。白い樹皮に緑や黄色のグラデーションが映えます」(飛田さん)
【カツラ】
カツラの木は秋に甘い香りを放ち、イチョウのように美しく黄葉します。樹高が高く、葉はハート形。万葉集や古事記にもその名が登場し、水辺で多く見られます。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース