柵は高さ約2メートルで、隔離から抜け出そうとした人が相次ぎ、地元当局が設けた。外には警備員が24時間態勢で見張りに立ち、内側ではこの住宅を宿舎として使う外国人のグループが所在なくたたずむ。多くは欧州連合(EU)域内で経済水準の低いルーマニアやブルガリアの出身者だ。 「稼ぐためにドイツに来た。同僚はルーマニア人ばかり。1日10時間、働く。ドイツ人のやらないきつい仕事だ」。柵の中からルーマニア人男性が話す。住宅の入居者は頻繁に入れ替わり、別のルーマニア人男性は「10人近くが暮らす部屋もある」と打ち明けた。 現場を見回るミヒャエル・エスケン市長(54)は「(800人のうち)70人が陽性だった。当初は誰がどの部屋に住んでいるか分からなかった」。柵越しに宅配業者が食品を届け、市民有志が生活必需品を差し入れる。 ▽がんじがらめ 工場を調査した専門家はろ過設備のない空気の循環システムが集団感染の要因と指摘するとともに、宿舎の居住条件にも問題があったとの見方を示した。同時に食肉会社が仲介業者と契約し、業者が人材募集から給与支給、宿舎の用意などを一手に引き受ける仕組みにも、搾取の構造だとして国内の注目が集まった。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース