1500キロ以上を12時間かけて
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、スペインで立ち往生となってしまったイタリア人学生ジアダ・コラルトさんが、タクシー運転手に無料で母国まで送り届けてもらうという出来事があった、と米テレビ「CNN」が報じている。
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運転手のケパ・アマンテギさんが、スペイン北部の都市・ビルバオからイタリア・ヴェネツィアの近くの町モンテベッロまで1500キロ以上を運転したという。
コラルトさんは、EU加盟国間の人物交流協力計画の1つ「エラスムス計画」で言語を学ぶため2月1日からビルバオに滞在。6月下旬から大学の講義に参加する予定でいた。しかし、欧州内で新型コロナウイルスが感染拡大を見せ始めると、状況は激変する。
3月中旬には通っていた大学が閉鎖され、講義や試験はオンラインに移行。アパートで共に生活していた2人のスペイン人学生も去ってしまったという。そうした状況の中、コラルトさんはイタリア大使館を通じ帰国の方法を探すことに。
何とかマドリード-パリ、パリ-ローマ、ローマ-ヴェネツィア間の航空券を購入したが、4月8日、移動制限のためにマドリードの空港で機内に搭乗できないことを告げられてしまう。
当時の状況をコラルトさんは「CNN」に対しこう語っている。
「絶望的な気持ちになり、腹が立ちました。両親は心配してくれましたが、どうすることもできません。大使館に電話をすると、Eメールを送るように言われました。でも、マドリードのホテルは締まっており、ビルバオに戻るための公共交通機関もありません」
そこで、コラルトさんはビルバオ在住の友人、アマンテギさんに連絡を取った。
「彼はすぐに迎えに行くと言って、マドリードまで9時間も運転して駆け付けてくれました」とコラルトさんは語る。ただ、その後ビルバオに戻ったものの、住んでいたアパートを利用できないと言われ、アマンテギさんの実家に一晩泊まることとなった。その時のことをコラルトさんは、「彼の両親は私を家族の一員のように迎えてくれました。この親切は一生忘れません」と話す。
アマンテギさん宅に留まった翌朝、2人はイタリアまで車で移動するという突拍子もない考えを思いつく。そして、移動に必要な許可を取得し帰国することにした。
2人は現地時間4月10日午前8時にビルバオを出発、フランスを経由し12時間かけてイタリアのモンテベッロにたどり着いた。
コラルトさんは帰国に当たりお金を払うといったそうだが、アマンテギさんは次のように返したという。
「君が難しい状況にあったことは分かっている。だから、お代は心配しなくて良い」
ただ、マドリードまで迎えに行った際に掛かった費用は請求したようだ。
イタリアまでコラルトさんを送り届けたアマンテギさんは、今度は彼女の家族から温かなもてなしを受けた。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース