カルロス・ゴーン被告は日本時間8日午後10時から、ベイルート市内で予告通り会見し、「身の潔白を確信している」と訴えた。
【写真】レバノンで行われたカルロス・ゴーン被告の会見をいち早く報じたテレビ東京
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ゴーン被告は定刻の日本時間8日午後10時前に会場入り。カメラマンにもみくちゃにされながら、席に向かった。スーツに赤地のネクタイ姿。顔色もよく、自分で雇ったPR会社の司会者から「レバノン人が誇りに思っている人物、ゴーン氏です」と経歴を紹介されると、自分で拍手しながら、英語で話し始めた。徐々に顔を紅潮させ、大きな身振り手振りを交えて独演会のようにまくしたてた。
最も強調したのは、日本の司法制度への批判だった。「私は無実を強く主張し続けてきた。1日8時間以上も取り調べを受け、検事は英語もフランス語も話さず、弁護士も同席できなかった。人権と尊厳を奪われた。罪を告白すれば終わる。告白しなければ、家族や私を追及し続けると言われた。絶望感がある中で、拘束から130日間、無実のために戦ってきた。公正な裁判を受けることはできないと思った。人質司法に抗議する」などと取り調べの様子を細部まで説明した。日本の司法制度では「推定有罪」の原則がはびこっていると批判し「身の潔白を確信している」と完全無罪を主張した。
逃亡方法については、協力者に迷惑をかけないために詳細を話さないとした。しかし、「正義から逃れたのではない。自分を守るためだった」とした。米メディアから「ずっと逃亡犯のままでいるのか」という質問が出ると「私はミスター・インポッシブルだ。数週間に以内に行動を起こす」と今後何らかのアクションを起こす計画をほのめかした。
起訴内容については、「真珠湾攻撃」という言葉を使い、ルノーとの統合を考えていた自分を排除するしかないと考えた日産幹部と検察が共謀して計画した陰謀と主張した。西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)らがたくらんだとし、豊田正和社外取締役が政府当局と結びついているとの自説を展開した。しかし、事前に実名を出すとしていた日本の政治家の名前については「レバノン政府に迷惑をかけたくない」と明らかにしなかった。
ゴーン被告が公の場に姿を見せるのは日本から逃亡後初めて。国際世論を味方につけて潔白をアピールする考えだったようだが、会見に参加させる報道機関は選別した。長年の友人によると、日本のメディアのほとんどは「フェイクニュースだ」として排除されたという。現場では「ゴーン氏のPRの場にすぎない」「厳しい追及を避けたのでは」との批判が上がっていた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース