映像によって、文字情報だけでは表現できない“リアル“を映し出すことのできるテレビ。その報道番組で欠かせない存在になったのが、「視聴者提供」という名の、一般の人たちが撮影した動画だ。かつてはテレビ局のクルーが現場に赴いて撮影した映像でニュースを作るのが常識だった。しかしスマホの性能が上がり、SNSが普及したことで、“その瞬間“を捉えた高画質な映像が即座に拡散されるようになった。テレビ局もそれらをチェックし、許可が取れれば放送に反映させるのが当たり前になってきた。
先月、登校中の小学生を襲った川崎の通り魔事件で、犯行直後の容疑者が、自らの首を切り横たわる映像。16日に大阪・吹田市で起きた交番襲撃事件で、容疑者の逮捕直後に撮影された、全身真っ黒の防護服に身を包んだ捜査員たちの姿。17日に東京・町田市で起きた、児童ら4人が重軽傷を負った交通事故の瞬間の映像。いずれも近隣住民や通行人などが撮影し、テレビ局に提供したものだった。
「テレビの仕組みでは絶対に撮れないものがある」。そう語るのは、自らもディレクターとして25年以上にわたり報道番組などを手掛けてきた松山功氏だ。昨年7月、一般人から動画を預かり各種メディアに提供する動画売買プラットフォーム「videocash」をスタートさせた。日を追うごとに持ち込まれる動画の数は増加。現在では3000を超える動画を管理している。
松山氏は一般人の動画について「事故が起きた瞬間とか、そのときの様子、これは絶対撮れない」と話す一方、その真偽やCG加工の有無などの検証が欠かせないという。
実際、今年3月にはTwitterで“拡散希望“のメッセージと共にアップされた“殺人動画“がフェイクであることが判明、投稿した男女4人は書類送検されるという事件も起きた。この動画に飛びついた報道機関はなかったが、警察には本物の殺人動画だと勘違いした人からの110番通報も相次いだという。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース