TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。5月26日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、令和メディア研究所主宰で白鴎大学特任教授の下村健一さんが“ネットの誹謗中傷”について述べました。
◆「リアリティショーはリアルではない」
5月23日に死去した女子プロレスラーの木村花さんの自宅から、遺書のような手書きのメモが見つかったことが判明。警視庁は有毒ガスを発生させて自殺を図った可能性があるとみて調べを進めています。木村さんはテレビ番組「テラスハウス」出演者で、番組内での言動に対しSNS上で多くの誹謗中傷を受けていました。
まずは、木村さんが出演していた「テラスハウス」のような“リアリティショー”とは何なのか。下村さんは「リアリティショーとリアリティは違う」と言い、前者は台本はないものの撮影後の編集段階でキャラクター性の増幅、切り捨てや単純化などが行われると指摘。
そして、撮影中はカメラや照明があり、出演者も当然意識するだけに「その意識がある限り、本当のリアルではない」と下村さん。また、ドキュメンタリーやニュースも同じで「カメラが存在する時点で本当のリアルではないことは念頭に置いて情報を受け止めなくてはならない」とも。
さらには、「スポットライトのなかだけを見るな」と主張。必ず周りには見えていない部分がありますが、それは決して隠しているわけではなく必然的にあるものだと言います。
◆正義感に燃えてネット上で攻撃する人へ
一方、正義感に燃えて攻撃する人に対しても言及。「日本アンガーマネジメント協会」の認定講師・島田妙子さんは、攻撃者は必ずしも悪人ではなく、正義感からやってしまった、その先の想像力が足りなかったと考えているそうで、下村さんもこれに同意しつつ、「相手を同じ目線の高さの友人だと思って、なおかつ面と向かって言えることかを考えて言葉を選ぶことがすごく大事」と言います。
そして、インターネットの怖さとして「水鉄砲のつもりで撃った言葉がいつのまにか実弾に変わって相手を撃ち抜いてしまうことがある」と警告。その他にも、「叩くほうはデジタルのつもりで発信していても、叩かれる側は生身で受信している、そのアンバランスを意識しなければならない」と下村さん。
◆誹謗中傷が増加!? ポストコロナを生き抜く術
さらに、SNSで自分を晒している人についても注意を促します。noteのCXOである深津貴之さんは、「100人に1人しか怒らせない程度まで言葉を選んでも100万人に広がったら1万人が怒る」といった趣旨の言及をしています。下村さんもそこまで考え、覚悟してSNSをやるべきと言います。また、攻撃相手の反応はわからないだけに、「想定を超えてくることがあると発信者は考えたほうがいい」と警鐘を鳴らします。
最後に誹謗中傷をする人たちとの付き合い方について、下村さんは「ポストコロナは、ますますこういう状況が増える」と推測し、「発する側がネットの世界、受け取る側が生身、そのギャップをまず失くすこと」と提言。そして、「ダメージを受けたらネットの世界に押し込む。リアルで受け止めずにシャットダウンすることも重要で、ネットとリアルの世界を一緒にしないことが受け手側にも必要になってくる」とアドバイス。
タレントのフィフィさんは、スターの存在がより身近になってきていることを指摘しつつ、「そうであっても誹謗中傷する人が一番の問題。抑止力のためにも法整備が大事」と訴えていました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース