2020年10月23 ~24日、教職員や教育関係者に向けて「第25回 New Education Expo」が開催された。基調講演に登壇したのは、文部科学省文部科学審議官の丸山洋司氏。小学校で全面実施が始まった新学習指導要領や、新型コロナウイルス感染症対策、GIGAスクール構想による1人1台のコンピューターと高速の校内ネットワークの整備などICTの活用など、教育現場は急速に変化している。こうした状況を受けて、今後の学校教育はどう変化していくのか説明した。 2020年の新型コロナウイルス感染症による全国的な休校措置で、学校現場では最大45日の授業日数が失われたという。各学校で夏休みの短縮や土曜授業などの対策により、学びの保障を実現するために努力してきた。新型コロナウイルスの学校での感染も低く抑えられていて、おおむね大半の学校で1学期の遅れを取り戻し、2学期に入ったという。
ハイブリッド型教育の構築を目指す
文部科学省は、感染防止の「学びの保障」総合対策パッケージを2020年6月5日に公表。それによると、授業を協働学習などの学校でしかできない学習活動に重点化し、限られた授業時数の中で効果的に指導していき、最終学年以外は指導の一部を次年度以降に移す特例対応をとる。2020年度第2次補正予算で人的・物的体制の緊急整備を行い、加配教員(3100人)、学習指導員(6万1200人)、スクール・サポート・スタッフ(2万600人)を追加配備する。また、ICT活用によるオンライン学習を確立するため、家庭にICT環境がない子供向けに端末やモバイルルーターなどを優先的に配備して感染症に備え、優先すべき地域の学校でオンライン学習が可能なようにしていく。 2020年6月23日時点の文部科学省による調査では、休校期間中の家庭学習に関して100%の自治体が公立学校で教科書や紙の教材を使用して学習を実施したが、デジタル教科書やデジタル教材を活用した家庭学習を実施したのは40%、 同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習を実施したのは15%と、学校でのICT活用の割合はまだ低く、課題が多いことも明らかになった。 だが、2020年度からGIGAスクール構想により小中学校で1人1台端末の整備が進み、今後の学校教育でICTの利活用が進むのは間違いない。丸山審議官は「対面授業とデジタル教科書などICTを活用したハイブリッド型の学校教育の構築を目指し、ICTの効果的な利用により個別最適な学びと協働的な学びを実現する」と話した。 GIGAスクール構想では、当初4年間で整備する予定を新型コロナ対策として2020年度内に前倒し整備することになった。4610億円の予算(2019年度補正と2020年度第1次補正予算の合計)のうち端末整備に関しては、自治体において既に98%の予算が執行された。2020年度中にほぼ端末整備は完了し、公立小中学校では児童・生徒1人1台の端末環境が実現する見通しという。 ソフトウエアに関しては、デジタルならではの学びの充実を進める。既に2020年度から新学習指導要領が小学校で全面実施(中学校は2021年度、高等学校は2022年度から)されていることを受け、デジタル教科書・教材などデジタルコンテンツの導入を進める。各教科ごとのICTを効果的に活用した学習活動や先端技術の利活用方法を提示していくとともに、学習指導要領をコード化し、オンライン学習・テストシステムのプロトタイプ開発をするなど、教育データの利活用を進めていく。 教育を支える人材の育成については、日常的にICTを活用できる体制を構築していく。各地域での指導者養成研修を実施し、ICT活用教育アドバイザーによる相談体制の充実、GIGAスクールサポーターによるICT環境の導入支援、ICT支援員による日常的な教員のICT活用支援を行う。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース