寒さが厳しい11月下旬のブリュッセル。クリスマスを前に、街のおもちゃ屋はツリーやジンジャーブレッドのぬいぐるみなどであふれ、大人まで心が躍るようだった。
一方、ネット通販でも気軽におもちゃが買える。ネット上では「子どもが遊ぶおもちゃは安全なのが当たり前」という常識がゆらぎ、危機感が高まっている。危ないおもちゃの流通をとくに厳しく取り締まっている欧州を取材した。
訪れたのは、家族経営の老舗おもちゃ屋「セルネル」。店のブリジット・セルネルさんは「どのおもちゃが安全か危険かを見分けて選ぶのが私たちの仕事。そのためには経験や学びで培った目が必要」と言う。おもちゃの展示会で実際に触ったり、製造者から話を聞いたり、情報を集めたりして店に置く商品を見定めている。
例えば、赤ちゃん人形用のベビーカー。遊んでいる子どもが間違って乗ろうとしても倒れないか、手をはさまないで折りたためるか。多種多様なベビーカーの商品から、選びぬいた一品を並べている。
世界のおもちゃの安全基準のなかで、欧州連合(EU)の安全基準は規制される化学物質が多いため、特に厳しいとされる。EU域内で販売されるすべてのおもちゃは、「欧州玩具指令」のもと、安全基準を満たしている必要があり、「CEマーク」を付けて販売される。規格の国際標準化政策に詳しい元国民生活センター理事長の松本恒雄氏は「欧州では、子どもの保護や消費者保護政策が重要課題。消費者団体の活動も活発で、行政機関は消費者側の声をよく聞いて立案している」という。
EU各国は、自国の市場で基準に適合しないおもちゃを見つければ、販売停止などの措置をとり、情報を共有。必要であれば他国でも措置をとることができる。
それでも、「おもちゃの安全」は脅かされつつある。ネット通販だ。
クマのぬいぐるみがかけていためがねは、パーツが鋭くとがっていて、肌に刺さる危険がある。ぬいぐるみの縫い目がゆるくて外に出た詰め物が、子どもの口に入ってのどをつまらすおそれがある――。
欧州のおもちゃメーカーなど…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル