能田英二
プロスキーヤーが、休業中だった北海道のスキー場の再生に乗り出した。スキーシーズンだけではなく、新たに通年型のアウトドア施設をめざして営業を始める。
2022年の正月にオープンするのが「M’s resort Ashibetsu(エムズリゾートアシベツ)」。北海道芦別市の中心部からほど近い旧・国設芦別スキー場は、営業不振で2020年3月に休業した。
スキー場を運営していた芦別市は、指定管理料(委託料)なしの条件で指定管理者を公募したが、昨年の応募はゼロ。今年10月、札幌市でスキーのオンラインスクールなどを手がける「サンフレーク」を経営する吉田勝大さん(31)が応募し、指定管理者に選ばれた。
吉田さんは北海道スキー技術選手権で優勝経験のある実力者。「スキーの魅力を広めたい」と、プロスキーヤーとして10年近くレッスンやイベント出演してきた。スキー場の閉鎖を知り、「スキーをフックに、地方創生を絡めて盛り上げたい」と応募した。
芦別市は「星の降る里」として満天の星で売り出しているものの、吉田さんはこれまでのようにスキーやスノーボードの愛好者だけをターゲットにしていては、商機を見いだせないと考えた。
そこで吉田さんは、年間を通してスキー場一帯を使って楽しむことを提案する。今後、サウナを設置したり、キャンプ客も受け入れたりすることで、通年の需要を取り込む。
ファミリーや若年層に受け入れられるよう、ラウンジには掘りごたつ風のテーブルを設置した。施設内には札幌で営業するカフェの支店が出店し、中華料理の専門店もできる。吉田さんは「お薦めのスキー場は? と尋ねられることが多かった。自分たちの手でお薦めできるスキー場に育てたい」と語る。(能田英二)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル