米国のスポーツブランド「ウイルソン」のテニスラケットの販売をめぐり、並行輸入を妨害した独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会の調査を受けている国内の総代理店が、疑いのある行為をやめるとする改善計画を公取委に提出したことが、関係者への取材でわかった。
代理店はスポーツ用品の卸売・販売会社「アメアスポーツジャパン」(東京)。「サロモン」「アークテリクス」など海外の人気スポーツ・アウトドアブランドも国内で扱っている。2020年9月に公取委の立ち入り検査を受けていた。
計画の提出は独禁法の確約手続き制度に基づいたもので、公取委は計画を精査し、公正な競争環境の回復に十分と判断すれば、計画が守られることを条件に違反調査を終える。
関係者によると、同社は海外の販売業者に対し、日本国内の並行輸入業者にはウイルソンの硬式テニスラケットを売らないよう圧力をかけていた疑いなどが持たれている。国内の卸売業者に対しても、並行輸入業者に正規輸入品を売らないよう条件をつけて取引していた疑いもあったという。
業界関係者によると、並行輸入業者の中には、公取委の立ち入り検査後も、輸入元がメーカー側からの圧力を恐れてか、ウイルソン製品が取引できないままの業者もあるという。
計画にはこうした行為を既にしていないことの確認や再発防止などを盛り込んだとみられる。アメア社は朝日新聞の取材に「現時点ではコメントできないが、公取委の調査には引き続き対応している」と答えた。
並行輸入品は、海外メーカーが契約する総代理店とは異なるルートで輸入され、安価に購入できる場合がある。価格競争を促す効果があるとされ、真正品の並行輸入を妨害すれば独禁法に違反する恐れがある。(田中恭太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル