欧州最大級の原発で、ロシア軍が占領するウクライナ中南部のザポリージャ原発から放射性物質が放出される事態に備え、その拡散予測に取り組むウクライナ人研究者が福島にいる。ロシアのウクライナ侵攻から1年。科学を通した「闘い」を日本で続けながら、母国の家族を案じて一刻も早い停戦を願っている。
「放射性物質の拡散予測への援助をお願いしたい」。首都キーウへの攻撃が始まった昨年2月下旬ごろ。福島大環境放射能研究所研究員のマーク・ジェレズニヤクさん(72)は、ウクライナ政府関係者から連絡を受けた。キーウの研究機関では職員が出勤できなくなり、仮に同国内の原発から放射性物質が拡散しても予測ができなくなった。
ジェレズニヤクさんらは、予測手法の開発に取り組んできた日本原子力研究開発機構やドイツの大学などとチームを結成。放射性物質が放出されたら住民避難に生かせるよう、日本の気象庁などが持つ現地の風向きといった予報データを使い、汚染がおよぶ範囲を毎日予測。ウクライナ側にメールで提供している。
放射性物質は風で流され、雨…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル