一斉臨時休校が始まってから1週間、急な要請への対応が難しい家庭の実態を示すアンケート結果が公表された。
子育て支援アプリ「ママリ」の調査(対象:子どもが1人以上いるママ1777人)によると、今の職場で在宅勤務が「不可能」と答えた人は80.8%で、「可能」の19.2%を大きく上回る結果に。「可能」と答えた人の中でも、「子どもが気になり集中できない」などの課題をあげた人が7割を超えた。また、利用できると助かるサービスについては「当日でもすぐに頼める低料金のシッターや家事代行」などが回答され、多くの人が子どもの預け先を探すなど急な対応に追われた実態が浮き彫りになった。
一方で気になるのは、休校から1週間が経過しての子どものメンタルヘルス。臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏は2つの懸念点をあげる。
(1)健康的束縛がない(居場所がない、達成感がない、承認欲求を満たせない)
→「今回の一斉休校について『仮に1カ月の休みになっても夏休みと変わらないのでは?』『子どもたちは結構楽しそう』という指摘もあるが、例えば大人でも大きな台風が来る前に意図せずテンションが上がってしまう人がいるように、楽しそうに見えて実は自分の心を守るための反応である場合がある。また夏休みとの大きな違いは、想定していない突然の休みであって、自由に遊んだり、行動できないこと。夏休みは塾があったりプールに行ったりと長期休みなりの過ごし方が実はある程度決まっていて、これは健康的な束縛といえる。一方でスケジュールが空っぽの状態で休みになるというのは特に子どもの心理的な健康を害する可能性があると思う。加えて、『学校や友達グループという安心でき毎日行ける社会的居場所があること』『ささいなことでも先生、友達らと共に達成する経験が得られること』『自分の存在感が他者との間で認められるような経験があること』、これらは子どもの発達にとっては必須で、それらがない生活を一定期間続けることで、バランスが崩れてしまう子もいることが心配される」
(2)卒業式がない(区切りがなく前後の見通しがつかない、情緒的交流がない)
→「在校生の修了式もそうだが、儀式には区切りをつけるという意味がある。区切りがあることで『終わりよければ…』という感覚になれることもあるだろうし、逆になければ、ゴールが見えないのに延々と走り続けるようなもの。『未完の行為』といって、その人のそれまでが完了できないことで次の一歩を踏み出すための障壁になる場合がある。また区切りを境に前後の計画をどうするかという見通しがついていることは、人が心身ともに健康であり続けるためには大事なこと。また、卒業式は人と人との気持ちのやり取りがあるので、人が社会的な動物である限りはそういう要素も節目節目で必要になってくる。もちろん、なければないでそれでやっていくしかないだけなのだが、ないことによるデメリットもそれなりにある」
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース