与党は今国会で日米貿易協定の承認を最優先で進めてきた。日米両政府は来年1月1日の協定発効を目指してきただけに、承認が滞れば「日本が恥をかく」(自民党幹部)からだ。もう一つの焦点だった憲法改正手続きを定めた国民投票法改正案の処理は無理に進めず、安全運転に徹した。
自民党の世耕弘成参院幹事長は4日、協定について「今国会の最重要テーマを完了できたことは非常によかった」と記者団に安堵(あんど)の表情を浮かべた。「参院では参考人質疑も行った。良識の府として中身のある審議ができた」とも語った。
協定をめぐっては、10月に閣僚の辞任が相次いで衆院外務委員会での審議が止まるなど、会期内の承認が危ぶまれる場面もあった。与党は野党が求める衆参両院の予算委員会集中審議に応じ、早期の幕引きを図った。
主要野党が早期の処理に抵抗する国民投票法改正案も、衆院憲法審査会での採決を見送った。主要野党が欠席したまま採決に踏み切れば、協定の審議に悪影響が及ぶと考えたからだ。
とはいえ、過去4国会にわたって継続審議となった改正案を今国会でも成立させられなかった代償は大きい。自民党幹部は「重要法案がなければ『えいや』で改正案を通すこともできた」とこぼした。(大橋拓史)
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