大村秀章・愛知県知事に対するリコール署名の偽造事件で、運動団体事務局長の田中孝博容疑者(59)が佐賀での代筆作業を業者に依頼する際、名古屋市の公共事業や美容外科経営の高須克弥氏の仕事を受注させると持ちかけていたことが関係者の話で分かった。県警は、業者が代筆作業の違法性を懸念したため、田中容疑者が利益をちらつかせて説得したとみている。
署名偽造にかかわった男性や関係者によると、田中容疑者は、佐賀市内でのアルバイトによる代筆作業を広告関連会社(名古屋市)に依頼する際、「(名古屋市の広報紙の)『広報なごや』の配布事業が受注できるよう手を貸す」「高須先生個人の動画チャンネルの制作をプッシュしてあげる」などと提案。「佐賀の件は高須さんも知っている」と話したという。市の事業も動画制作も、受注はできなかった。
男性は「田中容疑者は『口添えする』『手を貸す』が口癖。高須氏らとの距離の近さを強調して巻き込んでいった」と周囲に話しているという。
また、田中容疑者が10月初旬、ともに地方自治法違反(署名偽造)容疑で逮捕された次男の雅人容疑者(28)、団体事務局員の渡辺美智代容疑者(54)らに署名を偽造する計画を説明し、「高須氏の秘書に了解を取っている」と話していたことも新たにわかった。
高須氏は22日、取材に対し偽造行為への関与を改めて否定し、「仮に(田中容疑者から)そんな考えを聞いたら、クビだと言っている。発言の意図が分からない」と述べた。
田中容疑者は逮捕前の朝日新聞の取材に、「提案したのは自分ではなく、広告関連会社側だ」とし、偽造行為への関与も否定していた。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル