報酬額は日本人と同等以上であること(技能実習法)、賃金、労働時間その他の労働条件について国籍等による差別的取扱いを禁止(労働基準法)と、その立場は守られているはずが、人権無視ともいえる過酷な労働環境や実態に見合わない報酬体系などから失踪する人が増加。法務省の調べによれば、2018年の失踪者数は9052人(技能実習生の2.1%)に上る。 こうしたことから、日本の技能実習制度は「搾取的で安価な労働力を供給し、奴隷的状態にまで発展している場合さえある」(ホルヘ・ブスタマンテ氏の国連報告、2010年)、「日本政府は人身取引撲滅のための最低基準を十分には満たしていない」(米国務省の人身取引報告書、2020年)と、海外からも厳しい批判の声を浴びてきた。
■恋愛、妊娠、出産の禁止、トイレの管理まで…
30年以上にわたって外国人労働者の支援を行ってきた全統一労働組合の鳥井一平・特別執行委員が見せてくれたのは、あるベトナム人の実習生を“先輩労働者”の日本人が暴言とともに蹴り上げている映像。 また、あるカンボジア人の実習生は日本人の同僚からハンマーで殴られ、プレス機に手を挟まれて火傷を負ったベトナム人実習生は会社からバーベキューで怪我をしたと説明することを強要されたという。
鳥井氏によると、こうしたケースはあくまでも“氷山の一角”で、恋愛、妊娠、出産の禁止、パスポートや通帳、印鑑の取り上げ、最低賃金を下回る低賃金、残業代としてお米や生活用品の現物支給、さらにはトイレの使用時間と回数を分刻みで管理されるといった相談を受けてきたと話す。 実際、受入企業に対する監督指導などの状況(厚生労働省、2018年)を見てみると、指導を受けたケースのうち7割超で労働時間や安全基準などの労働基準関係法令違反があるという。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース