北海道の人口約2万人の小さな自治体、留萌市が卓球を核にした地域活性化をめざす取り組みを始めた。立ち上がったのは日本初のプロ卓球選手としてドイツでもプレーした「世界のカットマン」だった。
10月、卓球日本選手権の北海道予選ジュニア女子(高校2年生以下)の決勝。卓球関係者はその対戦カードに驚いていた。中学1年と中学2年の留萌の中学生対決だったからだ。ひとりは、とあるコーチの指導力を頼って東京から7月下旬に留萌の中学校にやって来た。もうひとりは、地元で知られた卓球3兄妹の末っ子。2人とも留萌を拠点に全国での活躍が期待されている。
今年4月から留萌市にコーチを派遣しているのが、卓球用品メーカーのVICTAS(ヴィクタス)。東京五輪で日本初の金メダルを獲得した水谷隼、伊藤美誠ペアが着ていたユニホームはVICTAS製だ。
同社の松下浩二社長(54)は国内トップの卓球リーグTリーグの初代チェアマンを務めた。球に下回転をかけて返球する「カットマン」で知られ、日本最多タイの4度の五輪出場。日本初のプロ選手として欧州で活躍した卓球界のレジェンドだ。
11月5日、VICTASは留萌市と、「卓球を通じた子どもたちに夢と希望を与える取り組み」「卓球を通じた市民の健康増進」など七つからなる包括協定を結んだ。松下社長は「これからの日本は大都市でなく、地方都市の活性化が重要になる。スポーツ、卓球の町、留萌を全国にPRしたい」と語った。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル