千葉県は13日、同県君津市の特別養護老人ホーム「夢の郷」(定員80人)の入所者の女性(82)が12日朝、搬送先の病院で死亡したと発表した。熱中症などの疑いで治療中だった。台風15号による停電で、この特養では9日早朝から冷房が使えなくなっていた。台風の通過後、県が把握した熱中症とみられる症状の死者は3人目。
県高齢者福祉課によると、女性は介護の必要度が最も重い要介護度5で、11日朝、車椅子の上でぐったりしていたという。顔色が悪く38・8度の高熱があったため、施設側が119番通報。午前10時ごろ、君津中央病院に搬送され、熱中症の疑いによる脱水と、足に血の塊(血栓)ができて、肺の動脈に詰まり呼吸が苦しくなる肺塞栓(そくせん)症(エコノミークラス症候群)の診断を受けた。翌12日朝、死亡した。
女性は10日の朝食は2割ほどしか食べなかったが、昼食を8割ほど食べ「調子は良いよ」と話していた。しかし、熱が出た11日は朝食を食べず、水分を取るだけで、顔色が悪かった。施設では、女性のほかに10人の入所者が発熱するなど、体調が悪化していたという。
特養によると、女性が搬送された11日やその前日、施設内の気温は35度前後あった。近くの電柱が倒れ、13日も停電が続いたが、この日未明に電源車が到着し、4日ぶりに入所者の居室で冷房が使えるようになったという。天笠寛理事長(56)は「もっと早く電源車が来ていれば……。残念です」と話した。(寺崎省子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル