東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県いわき市民らが国と東京電力に約13億5千万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は10日付の決定で、住民側の上告を退けた。東電に約3億3千万円の賠償を命じる一方、国の賠償責任については「事故を防げたと断定まではできない」と否定した二審・仙台高裁判決が確定した。
決定は裁判官4人の多数意見で、上告ができる理由にあたる憲法違反などがないとだけ判断した。行政法学者出身の宇賀克也判事は、上告を受理すべきだとする反対意見をつけた。原発事故をめぐっては最高裁が22年6月、先行した同種訴訟で国の賠償責任を否定したが、その後も各地で国の責任を問う訴訟が続いている。最高裁判決後、同種訴訟が最高裁で確定するのは初めて。
今回の訴訟で、一審・福島地裁いわき支部は21年、国が東電に津波対策を命じなかったのは違法として、国と東電双方に賠償を命じた。だが昨年の高裁判決は、最高裁判決に沿って東電のみに賠償責任を認めた。住民側1339人が国についてのみ上告していた。(遠藤隆史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル